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更新日:2024年10月21日
飯塚市では「福岡県ワンヘルス推進基本条例」の理念に則り、人と動物の健康と環境の健全性を守り、次世代に継承していくため「飯塚市ワンヘルス推進宣言」を表明しました。
ワンヘルス(OneHealth)とは、「人と動物の健康と環境の健全性は一つ」と捉え、これらを一体的に守ろうという考え方で、世界的にその取組が進められています。人獣共通感染症、生物多様性の損失、地球温暖化といった人、動物、環境の各分野にまたがる問題を解決するには、様々な分野の専門家、行政だけではなく、県民、企業、民間団体なども一緒になってワンヘルスを推進していくことが重要となります。
福岡県では令和2年12月に全国で初めてとなる「福岡県ワンヘルス推進基本条例」を制定し、県民及び動物の健康並びに環境の健全性を一体のものとして守り、その活動を次世代に継承していくための「6つの基本方針」が示されました。
「人獣共通感染症」とは、人と動物双方に感染する病気のことです。新型コロナウイルスや牛海綿状脳症(BSE)、鳥インフルエンザなど国内外で大きな社会問題となった病気も多く、人の感染症の60%を占めるといわれています。また、近年新たに発見された「新興感染症」の約75%にあたり、WHO(世界保健機関)で確認されているものだけでも200種類以上あります。
これらの感染を防ぐには、病原体を保有している動物や食品など(感染源)、飛沫感染や接触感染などの病原体が体の中に侵入する経路(感染経路)、ウイルスや細菌などに寄生される生き物(宿主)の3つの要因への対策が必要です。
病原体の排除や侵入経路の遮断、免疫力の向上のため、日ごろから手洗い・咳エチケット等の基本的な感染防止対策や感染予防のための口腔ケアを行いましょう。
また、ペットと触れあったあとは手を洗う、草やぶなどに入る際は長袖・長ズボンを着用するなど、動物やダニなどからの感染に注意しましょう。
「薬剤耐性菌」とは、抗微生物剤に抵抗できる細菌のことです。この薬剤耐性菌による感染症が発生した場合、これまで使用していた抗微生物剤が効かなくなるなど、治療が難しくなります。
薬剤耐性菌が世界的に増加する一方、新たな抗微生物剤の開発は減少傾向にあり、世界的にも大きな問題となっています。
国連はこのまま何も対策をとらなければ、2050年までに薬剤耐性によって年間1000 万人が死亡し、がんによる死亡者数を超え、経済的にもリーマンショック時の金融危機に匹敵するダメージを受ける恐れがあると警告しています。
抗生物質の効かない薬剤耐性菌の発生を減らすため、処方された抗生物質は、途中で服用をやめず、用法用量を守り、最後まで飲み切りましょう。
また、薬剤耐性菌による感染症の一部は、動物から人、人から動物に感染することも確認されています。
愛玩動物(ペット)が病気にならないように、日ごろからペットの健康にも気を配りましょう。
近年のグローバル化や大量消費・大量生産は、森林や生態系を壊し、気候変動の一因になっています。
地球温暖化は、豪雨や台風など様々な災害の原因となり、人だけでなく動植物にも大きな禍をもたらします。
また、大規模な森林伐採や急速な開発による都市化は、それまでジャングルの奥地に生息していたウイルスなどの病原体と人が遭遇する機会となり、新たな感染症が発生する恐れがあります。
人と動物の健康を維持するためには、多様な生態系を守り、人と動物とのすみ分けを保つことが大切です。そして、健全で豊かな自然環境を次世代に引き継いでいかなければならないことも忘れてはなりません。
地球温暖化対策として、二酸化炭素の排出を抑えるため、外出する際は自家用車ではなく、バスや電車などの公共交通機関を利用したり、自転車、徒歩で通勤通学をするよう、心がけましょう。
また、環境に配慮した商品を率先して購入したり、地域の自然を保全するための地域活動に参加しましょう。
犬や猫、鳥などの愛玩動物(ペット)は、私たちの生活に潤いや安らぎを与え、今や家族の一員とも言える重要な存在です。また、災害救助やアニマルセラピーなど、私たちの社会活動の様々な場面で活躍する動物もいます。
このように人と動物が共生している一方で、安易な飼養や遺棄や虐待、悪質な業者による販売などが社会問題となっています。また、過度なふれあいや不適切な管理により、愛玩動物を介して人獣共通感染症に感染する事例も発生しています。
人と動物との関係をより良く保つためには、動物の生態や本能、習性をよく理解し、動物を飼う場合には、衛生管理に気を配り、寿命を迎えるまで適切に飼養することが大切です。
飼っている動物には、予防接種や健康診断を受けさせ、衛生管理に気を配り、寿命を迎えるまで適切に飼養しましょう。災害時などで迷子にならないようマイクロチップへ情報登録して、装着しましょう。
また、野生動物とは適切な関係を保つため、無責任に餌を与えたり、人家に餌となるものを放置しないようにしましょう。
人の健康は、適度な運動習慣の定着や、食生活の改善といったことに加えて、人や動物が心も体も健やかな状態で過ごすことができる生活環境において育むことができます。
例えば、豊かな自然の中を散歩したり、動物と触れ合うことは、年齢や性別、障がいの有無に関わらず、人を元気にする力があります。
また、森林とふれあうことはストレスホルモンの減少や血圧の低下、脈拍数の減少、免疫機能の増強など、様々な効果があることが科学的にも実証されています。
これからの健康づくりは、動物と環境とのつながりも一緒に考えていく必要があります。
私たちは、人だけで生きているのではありません。健全な環境と多種多様な動植物との関わりの中で生きて、健康を維持しているのです。
ハイキングや地域で開催されている自然観察会への参加等を通じて自然とふれあうとともに、身近な自然への理解を深めましょう。
「食」は、私たちの健やかな毎日を支える源です。健全な環境で生産された健康な家畜や、安全な農作物・水産物などを食べることが、人の健康にも直結しています。
安全な米や野菜などを作るためには、健全な環境の農地や水が必要です。肉・卵・牛乳などの畜産物は牛・豚・鶏などが健康に育つよう、その飼育環境や餌の安全性に配慮しなければなりません。
また、地産地消に取り組むことは、「食」の安全・安心や環境への負荷軽減につながります。「食」に対する知識と、「何を食べるのか」「何を食べてはいけないのか」を学ぶ「食育」を通して、農作物・水産物が自然環境や動物の「いのち」に関係していることを意識することも大切です。
福岡県では、おいしい農産物・水産物がたくさん生産されており、四季折々の旬の食材を楽しむことができます。特に、旬の食材は、栄養価が高く、安価で、その時期に身体に表れやすい不調を整える働きがあると言われています。
福岡県で生産されたものを県内で消費する、地産地消を推進することは、農産物を輸送する距離が短くなり、エネルギーとCO2排出量の削減につながり、環境への負荷を軽減することもできます。
ぜひ、県産のおいしい農林水産物を積極的に買って応援、食べて応援しましょう。
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